「はぁ…疲れた~」
わたしは一つ大きく伸びをした。
「色々と手伝ってもらってすまなかったね」
声に振り返ると、桂さんが立っていた。すごく新鮮な気分で桂さんを見上げる。
今日の桂さんは、いつもの…着物ではなくて。みんなは『隊服』と呼ぶ、黒い…洋服を身につけていて。ついでに言うなら髪の毛も短くさっぱり切ってて。
そう、随分印象が変わり……わたしにしてみると、時代の違いはともかく馴染みのある格好に変わっている。かっこいい…!!カッコイイよっ!桂さん~~~~っ!!!!
今日は藩邸のみんなが桂さんが着ているみたいな服に衣替えをするというので、一日中手伝いをして過ごしたのだ。朝から藩邸の中は大騒ぎで。今やっと一息…と言う感じだ。
「桂さんもお疲れ様でした」
「今日はとても助かったよ。とりあえずは落ち着いたから、少し休むといい」
「ありがとうございます」
わたしが笑うと、桂さんも笑い……それから肩をすくめる。
「それにしても、みんなを見慣れないのは仕方ないとして、私自身も少々心もとないよ」
「そうなんですか?」
「首元が特に、ね」
あぁ…。なるほど。桂さんは衣替えをするにあたってあんなにキレイだった長い髪をバッサリと切っちゃったのだ。……なんとなく、わかるかも。その気持ち。
「わたしも髪切った時そんな感じしますよ」
言って和やかに笑うわたし達に、横から聞きなれた声が聞こえた。
「おい!オレ様抜きで何を楽しそうに話してやがる!」
わたしは半眼で声の主───晋作さんを見て呟く。
「あ。諸悪の根源…」
「こら!人聞きの悪い事を言うな!」
まるで自分はまったく関係ないかのような態度の晋作さんだが、今日はもう。それはもう大変だったのだ。
わたしがみんなの髪を整えていれば、『断髪式だー!!!』と言ってみんなの髪をめちゃくちゃに切りまくり。届いた隊服をわたしはサイズごとに分けておいたはずなのに、誰かさんがぐちゃぐちゃにしちゃったから結局最初からサイズを探して割り当てることになり。
そう、口ではとても言い表せないくらい大変だったのだ。
「誰だ!そんな事をしたのは!!」
「晋作じゃないか」
「晋作さんだよ」
見事に桂さんとわたしの返答がカブる。
「え!オレかっ!」
晋作さんがびっくりした顔でそういうけど、びっくりは正直こっちだよ…。なんでこうも自覚がないのかなぁ……(苦笑)
呆れるわたしの前で晋作さんは大笑いしている。
「そりゃ、悪かったな!……だが」
ずいっと晋作さんがわたしに顔を寄せる。
「お前がいい動きをしてくれたお陰で、助かった」
……いつだって不意に見せる、真剣な目とか…声。それにドキドキさせられっぱなしのわたしは、呆れた様子を装って聞く。
「晋作さん、反省してる?」
「ああ、してるぞ!」
……どうもそうは見えないんだけどな……。
「あ!その顔は疑っているだろう!」
「だって、とても反省してるように見えないんだもん」
「こーら!このオレを信じろ!」
あいかわらずの、近すぎる距離のままで晋作さんが微笑む。
なんだかもう……何言われても恥ずかしい…!!だから、わたしは「うん」と素直に答えるしかできなかった。
その時、桂さんが口を開く。
「さて。そろそろ彼らも着く頃だ。部屋へ行くよ」
「お。もうそんな時間か。ほら、ついてこい」
「え?あ、うん」
晋作さんに促されて、わたしは2人の後を着いて歩き出す。…誰が来るのかも知らないままで。

部屋にいたのは龍馬さんと慎ちゃん、武市さんだった。みんな、藩邸のみんなと同じ服を着てる。髪もバッサリ切って、現代っぽい!
「みんなも着替えたんですね。すっごく似合ってますっ!」
ほんとにほんとにっ!
特に武市さんと慎ちゃんは髪が長かった分、桂さんと同じようにすごいイメージチェンジだ。慎ちゃんに「格好いいっスか?」と聞かれたわたしは、ものすごい勢いで褒めちぎる。
武市さんは「首筋がなんだか涼しすぎるんだけどね」などと、桂さんと同じことを言っている。
「2人とも、短い髪型すっごくステキです!」
わたしがそう言った時、不満げな声が背後であがる。
「おいおい!なんでそっちのシンちゃんとはそんなに盛り上がるんだ!」
「え?」
振り返ると、幾分拗ねた様子の晋作さん。
「オレの時にはそんなに注目しなかったじゃないか!」
「朝、いっぱい褒めたのに」
晋作さんにそう答えると、またしても背後から不満そうな声が……。
「ワシにも、なんもゆーてくれんね……」
はっ……!!!りょ、龍馬さんっ・・…!!!
確かに、ちょっと、忘れてた、かも…………。
「ご、ごめんなさい。つい……」
いったん言葉を切ってから、わたしは慌てて話を繋ぐ。き、気まずすぎるっ!!!!
「そ、それより、今日はみんなどうしたんですか?」
強引過ぎる話題の転換に、のってくれたのは武市さんだった。
「明日、重要な会合があるんだ」
「そうそう。このあと、大事なお客様も来るんぜよ」
あぁ…、そうなのか。すると、これからその打ち合わせかな?
「じゃあわたし、そろそろ自分の部屋に戻って……」
これぞ天の助けと言おうか。会合の打ち合わせなんかにわたしが居ても仕方がない…と言うか。そう言って部屋を出ようとしたわたしの腕を強引に引っ張る手。
「きゃっ!」
バランスを崩したわたしは、そのまま腕を引っ張った人物の膝の上にすっぽりと収まる形で座り込んでしまった。
誰かなんて考えるまでもない。こんな無茶な真似するのは。
「晋作さん!あ、危ないよっ!」
わたしはこの状態が恥ずかしくて晋作さんの膝の上からもがいて降りようとする
……けど。
「お前はここでいい」
晋作さんはさも当然のように言って、わたしを後ろからふわりと抱え込んだ。
「え…」
そ、そんなこと言われたって、きっとこれから大事な話し合いでしょ?それをこんな…わたしは晋作さんの膝の上で??
あっ、ありえないよっ!!!こんなシチュエーション!
ジタバタするわたしを逃がすまいとするみたいに、晋作さんはぎゅうっと抱え込んでくる。
どどど……どうしたらっ!!!!(悲鳴)
「高杉さん、一緒に居たい気持ちはわかったが、こん子は話を聞かせない方がええ」
「えー!いたって構わないだろ!」
子供のようにそう言って、晋作さんは相変わらずわたしを離そうとしない。
わたしは、身動きも出来ないほどきつく晋作さんに抱きしめられてしまって。……ふと気付いたけどわたしの首のあたりには晋作さんの顔がっ……かおっ…!!!
心臓がドキドキして、自分でも鼓動の音がうるさいくらいだ。
こんなにドキドキしてたら、晋作さんにも気付かれるよぉ~~~~っ!!!!
「ここの話を知る人間にしてしまったら、危険に巻き込むことになる」
龍馬さんの説得はそれなりに晋作さんに届いたらしい。唸った晋作さんの腕が幾分ゆるくなる。
そこで桂さんがダメ押しとばかりに口を開いた。
「あ。それともう一つ。これから来るお客さんの部屋の準備を彼女に頼みたかったんだ。……借りても構わないかな?」
その言葉に、ようやく晋作さんがわたしを解放する。
途端、わたしは晋作さんの膝の上から転がるように離れた。
だっ……だめだ!顔が熱くて、クラクラするっ!!!
自分でも赤面していることを自覚しているわたしは「準備に行ってきます!」と明後日の方向を向いて言い放ち、バタバタと部屋を後にする。
そして、廊下に出てから大きく一つ深呼吸をした。
相変わらずドキドキは治まらない。顔が、熱い。
抱きしめる腕のたくましさとか、わたしがすっぽり納まってしまう腕の中とか……。彼氏もいない高校生には刺激が強すぎる…!!!(笑)
自分でもおかしいとわかるくらいにぎこちない歩みで、わたしは自分を落ち着けるために歩き出した。ら。
「小娘!」
と声をかけられた。……そんな呼び方をするのはこの世にただ1人。
「大久保さ……ん?」
これが漫画とかなら『コチーン』とか擬音があてられそうなほど。見事なほどに硬直してわたしは大久保さんを見た。
大久保さんも、着替えてる……っていうか。…何かが、強烈に…違う。何なんだろう。
「人の顔を見ながら固まるな!無礼者!」
ああ……この上から目線、確実に本物の大久保さんだ……って、目線!?
「あーっ!!」
「!?」
いきなり叫んだわたしに今度は大久保さんが硬直する。
「目が出てる!!」
「はっ?」
「大久保さん、髪切って目が出てます!」
思わず指差したわたしの手を「人に指を向けるな!」と払われた。そうして大久保さんがいつものようにふんぞり返る。
「すみません…つい」
素直に謝ったわたしの目に、今まで気付かなかったのがおかしいくらい存在感のある人物が立っていた。…ちょうど、大久保さんの後ろだ。
目が合うと、にこりと笑って挨拶をしてくれる。
「こんにちは」
「こ、こんにちは!」
随分と大柄な人だ。……気付かないなんて、どう考えてもすごい動揺してたとしか思えない…。
……晋作さんのせいで。
「私の古くからの友人、西郷隆盛だ」
西郷?うーん。どこかで聞いた名前だなぁ…。って西郷隆盛知らないなんて(以下割愛)
なんだろ。最近CMとか…何かで。
「あ!犬の人だ!」
「犬の人?」
怪訝そうに問い返してくる大久保さんを、わたしは笑って誤魔化した。あはは…そうだそうだ。TVの話なんてわかるわけないじゃん。
肩身がどんどん狭くなるわたしに、西郷さんはやさしく話し掛けてくれる。
「おはん、長州人かい?」
「あ、いえ」
そりゃ、この藩邸にいるんだからそう思うよね。なんと答えたものかと悩んでいたら、ぼそっと大久保さんが口を挟む。
「家出娘だ」
「ち、違います!」
「家出娘で田舎娘だろう」
カッチーン!!!
「田舎娘!?なんでですか!!」
「そんな真っ赤な顔をして、田舎娘そのままだ」
フフン。とでも笑いたげな大久保さんの視線から避けるようにしてわたしは頬を触る。
うわ…。まだわたし顔赤いんだ……。重症だよ……(泣)
「そう言えば、お前は一体いつまでここにいるんだ?」
「え?」
突然。
冷水でもかけられたかのように身体が冷えていく。
いつまで。
それは、考えなくちゃいけないことだったハズなのに、逃げていたことだった。
あの神社も見つかって……なのに、わたしは……あれから一度も行こうとしていない。いや、連れて行こうとしてくれた晋作さんでさえ止めて。
……行くのを、嫌がって……?
「どうした?」
大久保さんがわたしの顔を覗き込んでくる。態度は大きな人だけど、時々すごくうがったことを聞いて来る人だ、と思う。
まるで、わざとそう仕向けているかのようだ。
「…ふん。口にだせんか」
「……すみません……」
謝って俯くだけのわたしに、強い声が聞こえてくる。
「お前の居たい場所を言ってみろ」
顔を上げる。
「……居たい、場所?」
「居たい場所が無い訳はあるまい。簡単な答えだ」
わたしの居たい…場所。…………わたし、の……。
わからない。
答えがどこにあるのか、わからない。大久保さんの言う通り、簡単なはずの問いかけだった。少なくともこの世界に来た当初、居たい場所はもとのあの世界…あの場所に他ならなかったハズで。
なのに、今は答えがすぐに出せずにいる。……何故か。
「おなごにそれほど手厳しいとは。珍しいな、利通」
苦笑しながら西郷さんがそう言う。
…てか、珍しい!?え……?出会った時から彼はこうだし、全体的にみなさんに上から目線でお話になっている所しか見たことないんですがっ!?
「こいつはいいんだ。まぁ、もっとも当然私の元へ身を寄せたいと言うのだろうがな!」
「おい!待ちやがれ!」
「し、晋作さん?」
いつの間に来ていたのやら、現れた晋作さんにびっくりする。
「さーて、こいつへの手出しは大久保さんでも見逃せねぇぞ?」
し…晋作さん……。目が笑ってないんですけど……(泣)
「ほぉ?それは面白い。どう見逃せないのか聞かせてもらいたいものだ」
返す大久保さんも、満面の笑顔がかえって凄みをきかせてて怖い……っ!
「お取り込みのところ、失礼」
そんな2人の間に割って入ってきたのは、他の誰でもない桂さんだった。彼は、大きく息をつくと、2人を見据えて口を開く。
「長州藩、高杉晋作殿。薩摩藩、大久保利通殿。お二方共、明日は何の日か、お分かりか?」
桂さんの静かな言葉に、一瞬空気が張る。
晋作さんと大久保さんの表情を見た桂さんが、そこでふっと笑んだ。
「分かっておいでなら結構。さ、部屋へ」
…なんだかよくわからないけど、すごい迫力……。
みんな大人しく部屋へ入っていく。
多分ここに居たのが誰だったとしても、今のには逆らえなかったと思うよ…(苦笑)それくらい、すごかった。
硬直したままのわたしに向かって、今度はいつものように微笑んで
「悪かったね。君は自分の部屋でゆっくりしておいで」
言われて、わたしは何の為にあの部屋を抜けたのかを唐突に思い出した。
「あ!あのっ!わたし、部屋の準備とか出来てなくて!」
わたしがおずおずとそう言うと、桂さんが優しく笑う。
「ああ、あれかい?あれは単なる方便だよ。君を出してあげたくてね」
ああ。なんだ、そうだったんだ。
納得するわたしに笑いかけると、桂さんも部屋に戻っていく。
障子の閉まる音が聞こえて、力が抜けた。
そうして、一人残された廊下でさっきの大久保さんの言葉が頭をよぎる。
わたしの……本当に居たい場所。
それはまだ……今はまだ、見つけられないような気が、していた。


夜になって、昼間みんなが話し合いをしていた部屋の前を通りかかる。そこで、ばったり桂さんに出会った。けど、1人みたい??
話を聞くと、寺田屋組はもう帰ってしまったらしく、残りは奥の部屋で酒盛りの真っ最中…とのこと。
ってことは、晋作さんも、かな?
チラと奥の部屋に目をやると、桂さんが言う。
「気になるかも知れないが、男だらけの乱暴な場だ。君は部屋にいなさい。いいね?」
「は…はい」
「いい子だ」
言って、桂さんも奥の部屋に入っていく。
……っていうか、昼間の一件から妙な迫力を感じちゃうんだよね~。桂さん。
さっきだって、有無は言わせません。みたいな迫力だったし。。。
とりあえず、喉が渇いただけなわけだし。水を飲んだら部屋に戻ろうっと。
そう思って廊下の角を曲がろうとしたところ、死角の方からきた晋作さんとぶつかった。
「晋作さ……えっ?」
ぐらり、と。晋作さんの身体がわたしにもたれるように崩れた。
慌てて支えるわたしに、ぷーんとお酒の匂いがする。
「…晋作さん……飲み過ぎたの?」
呆れながらそう言うわたしの背中側で、急に晋作さんが咳き込み始めた。
「…ごほっ…ごほっごほっごほっごほ!」
「!?晋作さん!!」
あの夜と同じように、激しく咳き込み始める晋作さん。無意識に掴まれる腕が痛い。
「晋作さん!晋作さん!大丈夫!?」
問いかけても、答える余裕もなく咳き込みつづける晋作さん。
そこで、わたしは思い出した。桂さんにもらった、あの紙包みを。
ポケットに手を突っ込んで取り出し、震える手で開く。
「晋作さん、待っててね!今……あ」
これ、粉だから水がなくちゃいくらなんでも飲めない…。
咳き込む晋作さんを横から覗き込んで声をかける。
「晋作さん。今水を取ってくるから少しだけ待ってて」
言ってそこから離れようとしたわたしの手を晋作さんが掴んだ。
「行く……な」
「でもっ!」
「部屋に行く…肩を貸してくれ」
苦しそうな息の中で、搾り出すような声で喋る晋作さん。
ああ…確かに、こんな晋作さんを廊下に1人残しておくなんてできない…。
わたしは、紙包みをしまって晋作さんの腕を取る。彼の腕を首にかけて、全力で立ち上がらせた。
「しっかり掴まってね」
ここからなら、わたしの部屋が一番近い。早く寝かせてあげないと…!

必死で支えて、なんとかわたしの部屋へ。
「晋作さん、横になれる?」
「ん……」
わたしは、晋作さんの身体を離さないようにゆっくりと畳に近づけていく。
「っ!ごほっ!」
その時、また晋作さんが大きく咳き込んで。不自然な体勢でなんとか保っていたわたしのバランスが崩れた。
そのまま2人で畳の上に倒れこんでしまう。
「げほっ……!」
支えようとした都合上晋作さんにのしかかられるように倒れこんだわたしから、上半身だけ起き上がるけど、それでも彼は私の膝の上で苦しそうに咳き込む。
は、早く、薬を飲ませなきゃ!!
「晋作さん、水とって来るから、膝から下ろすよ?」
「イヤ…だ……」
ぎゅうっとスカートを握ったままで。子供のように晋作さんが呟く。
「でも、薬飲まなきゃ……」
言いかけた言葉は、咳き込む晋作さんの辛そうな声で掻き消える。
なんで……。
どんなに頼んでも、晋作さんはわたしの膝の上からガンとして動かない。…離さない。
「お願いだから、晋作さんっ!」
声を荒げたその時、彼が何かを呟いた。
「……た……か?」
「え?」
「幻滅した……か?と、聞いた……」
膝の上で。寂しそうに……そう、言う晋作さん。
「な、何言ってるのっ」
「は…はは……。情けない姿だし……な」
呟く晋作さんに、わたしはキレた。
「馬鹿っ!」
「ば、馬鹿!?」
晋作さんは咳き込みながらも、顔を上げ、わたしの言葉に驚いた表情を浮かべている。
「こんな時に何を言うかと思えば、そんな馬鹿なこと…だいたい!」
「…だいたい?」
「晋作さんの無神経さには毎日幻滅しているしっ!1日10回くらいは幻滅してるんだからっ!……今更幻滅とか遅すぎるよ」
すごい勢いで言い切ったわたしに、呆然とする晋作さん。
と、不意に笑い始める。
「はははっ。病人にかける言葉じゃないな」
その言葉で……一つの事実が確定して。わたしは、重い口を開いた。
「…晋作さん……。やっぱり、病気なの?」これが病気じゃなかったらなんなのよっ(泣)
晋作さんは、苦笑気味に答える。
「あぁ。そうだ……。オレのこれを知っているのは…小五郎と坂本だけだ」
桂さんは、やっぱり知っていたんだ……。
「…女では、お前だけだぞ?」
それは喜ぶべきことなんだろうか……?よく、わからないけど。
冗談めかして言う彼に、わたしは問う。
「その……なんて病気?」
晋作さんは、答えにくそうにやや視線をはずして……それでも答えてくれる。
「……ろうがいだ……」
聞き覚えのある単語。沖田さんが言ってたのは、あれだったんだ……。
「ごほっごほっ!げほっ!」
「!?」
また咳き込む晋作さんに、我に帰る。
そうだよっ!!今そんなこと聞いたり…話してる場合じゃない!わたしは、わたしに出来ることをしなくっちゃ!
「晋作さん!水を取りに行かせて!」
「なぁ……」
必死でお願いするのに、晋作さんはそんなのどこ吹く風だ。いつもなら、飄々としてることを評価するところなんだろうけど、今回は一体……っ。
「オレがこんな姿見せられるのは、お前だけなんだぞ?」キター!!!殺し文句ッ!!!
「…晋作さん……」
「小五郎にだって、こんなところは見せた事がない。だから…」
ふわっと、晋作さんが身を伏せて。わたしの腰を抱くようにして膝の上で呟く。
「もうしばらく、こうしていさせろ」
そのまま、辛そうに咳き込みつづける晋作さん。『辛』と『幸』って漢字似てるよね……。好きな子の膝の上で、晋作はそれでも幸せだったろうと妄想してしまう(爆)
───わたしは。何も出来ずにただ、ひたすら晋作さんの背中をさすりつづける…。
どうしたら……どうしたら、晋作さんを助けてあげられるの……?


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ハイ!そんなこんなな九話でしたー!!!
晋作さん……結核…大丈夫なんスかね……(苦笑)史実では……若くして亡くなってますけどその……主人公ちゃんとは幸せな未来があるんでしょうかね!(笑)
…いや、まぁ、大丈夫か。乙女ゲーだしな(笑)
もう、日ごとに晋作が可愛く見えて仕方ねぇ……っ!!!(誰だ!アンタ)
「馬鹿ッ」とか主人公に言われて花がとんでる絵を見てマゾ?とかちょっと思ったり思わなかったり。
ハッ!!!
してみるとアレか。労咳の薬飲まないのもそういうプレ……(自主規制)
こほん!
あと、もうちょっと主人公に傾く過程が自然だったら言うことなかったなッ!!!

読んでくださってればわかる……かも知れないし、(そういう…メインストーリーに関わらない部分を端折ってるので)わからないかもしれませんが(爆)今回の幕恋は、逆ハーみたいなテイストなんですごく……むず痒いです。。。軽~く、取り合ってくれますv
大久保さんとか…イイよなぁ……。
執恋における山科さんを思い出すキャラだ……。
それに、武市さんもイイッ!今日、髪を切った姿を見て……たまらなくなりました。
はぁ~…、次回攻略は武市さんにしよう♪

って!!!晋作攻略、まだなんですけどっ(笑)
あと……4、5日あるか、ないか。
楽しんでやっていきたいと思いますvvv


今日の選択肢
もう。反省してる?
馬鹿!(花)

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