「ん……」
今日もいつものように、遠くで鳴くスズメの鳴き声で目覚め……る、ハズだったんだけど。
……気のせいかもしれない。夢だったのかもしれない。だから布団の中で、耳を澄ます。
「カシラーっ!自分でどうにかして下さいっ!!」
「んだとーっ!オレ様がやってやるからこっちに来させろ!!」
……。
夢じゃない、ようだ。
なんだろ、外で大騒ぎしてるみたいだけど。しかも、晋作さんも一緒だ。
「カ、カシラーっ!!無理ですっ!!あーっ!!」
「待て!!こっちもまだ準備ができてないだ…って、おわぁーっ!!!」
賑やかなそのやりとりを聞いて、自然に笑みがこぼれる。
良かった。あの様子じゃ、今日は元気みたい……。
脳裏に昨日の……日頃は見ない辛そうなカオの晋作さんがよぎった。
……本当に大丈夫なんだろうか。只事じゃない様子だった彼が頭から離れない。『ろうがい』が何か。はぐらかされたような気もするし。
……なんだか、胸がもやもやする……。不安や、心配や。色々で。
わたしは、考えを振り払うようにパンッと両頬を叩いた。
とりあえず、早く支度してごはん食べに行こう!そう思い、わたしは身支度を整えると急いで自分の部屋を出た。
「…あ。桂さん、おはようございます」
いつも食事をいただく部屋に入ると、すでにそこには桂さんが座っていて。
「おはよう。丁度、朝食の用意もできたところだよ」
と微笑みながら言ってくれる。わたしも思わずにっこりと笑って、穏やかな空気が流れる。
……朝から癒されるなぁ~。
そういえば。
「あの、晋作さんは…?」
さっきの騒ぎがした方向をちらりと見ながら聞いてみた。
すると、桂さんはおかしそうに笑いながら「晋作を待っていたら日が暮れてしまうよ」と言い、「先にいただこう」と朝食を勧めてくれる。
……けど。晋作さんってここでは偉い人、なんだよね?先に食べちゃっていいのかな。
そう思ったわたしのことなど、桂さんはお見通しだったようで。
「なんの問題もないよ」
と笑ってくれる。
……ほんと、桂さんも相手の考えてることがよくわかる人だ。こういうとこ、晋作さんと似てるのかも。
「じゃぁ。いただきます」
そうして和やかに朝食を取り始めたわたし達だけど。
食事中の会話の中で、つい……。そう、つい。昨日お祭りに行ったことを口走りそうになってしまって……。
一人テンパりそうになりながら、言い訳を始めようとしたその時。意外なことに桂さんは笑って言う。
「私が気付かなかったとでも?」
……う。お、お見通しってヤツ…なのですね。。。返す言葉もなく、私は黙り込んだ。
「もしかして、君の言う事ならば聞くかと思ったんだけど、駄目だったようだね」
「す…すみません…」
「まぁ、仕方ない。ああなった晋作は言うことを聞かないから」
苦笑する桂さん。本当に困ったヤツだ、と言わんばかりの優しげな困り顔で。
…そうだ。
こんな風にずっと傍にいて見守っている桂さんなら、昨日の様子が変だった晋作さんのことだって、知っているんじゃないだろうか。
「あの…その、昨日お祭りに行ったとき、晋作さんがすごく咳き込んだんです…」
「咳き込んだ?」
「ただ咳が出たって言うんじゃなくて、ものすごく苦しそうで」
昨日の、あの晋作さんが頭から離れない。
「通りがかった沖田さんが『ろうがいか?』って聞いてて…」
「沖田?まさか……」
サッと顔色の変わった桂さんに、昨日晋作さんから聞いた関係を思い出す。
だから、慌ててわたしは言葉を繋いだ。
「あっ、あの!大丈夫です!晋作さんのこと、バレてませんから!」
言葉に桂さんは大きな溜息をついた。
「やはり、あの…沖田なんだね?」
「は、はい……」
「全く、君達は…」
放っておくと、また長いお説教が始まりそうな桂さんに、わたしは間髪入れずに畳み掛ける。……昨日晋作さんにはぐらかされたこと。
「あの、ろうがいって、何ですか?」
そう聞くと。桂さんは軽く一度瞳を閉じ。それから、わたしを真っ直ぐ見つめる。
「晋作には、聞かなかったのかい?」
「聞いたんですが、教えてくれなくて」
わたしの答えに、桂さんは大きな息をついて「そうか……」とだけ答える。
少しの間。
沈黙を破って桂さんが言ったのは、「本人が話すまでは待っていてあげなさい」ということ。
でも、多分それは大事なことだと思うのだ。わたしとの結婚を引き合いに出すほどに。それはきっと、覚悟が必要なのだと……言われたのと同じなんだと思う。
引き下がるつもりがないわたしを見て取ったのか、桂さんは小さな紙包みをいくつかわたしに手渡してくれた。
「……?これは?何か、粉が入ってますね」
「次に晋作が咳き込むようなことがあったら、それを飲ませてやりなさい」
「これを?」
……ってことは、これは薬??
桂さんが持っているということは、晋作さんの常備薬……みたいなモノ、なのかしら?
「お守り代わりに、君が持っているといい」
「はい……」
わたしはその紙包みを受け取り、制服のポケットに大事にしまいこんだ。
うん。薬があるなら大丈夫だよね!
……ん?けど、だったらなんで晋作さんは薬を持ち歩かないんだろう…。たまたま飲み忘れて症状が出たとか、そういうことなのかな…??

自分の部屋に戻り、日向に座ってしばらく庭を眺めていた。
そして、ふと思い出す。昨日、夜闇の中に見た神社……。
そういえばなんかゴタゴタして忘れてたけど。神社が見つかったって事は、わたし、もしかしたら帰れるんじゃ……?
でも、そうしたら。晋作さん達とも、お別れ?
ずきり、と胸が痛む。
わたしは、色々振り払うように頭を振った。
そう、いつまでもここに居させてもらえるわけじゃない。もし帰れるようになるんだったら、わたしは帰らなくちゃならない。
向こうで待っているはずの、カナちゃんや部活のみんなや、そして家族のために。
もちろん、わたしのためにも。
思う心に浮かぶのは、晋作さんの笑顔。屈託の無い、わたしの大好きな、あの。
「……わたしのため、か」
それはもちろんそうだ。たった一人でこの世界で生きていくことなんて、きっと出来ない。
だから、ただここにいるんじゃなくて、ちゃんと自分で帰る方法を考えなくちゃいけないんだ。
晋作さんに頼ってばっかりじゃ、ダメなんだ。
うん。今日、もう一度あの神社に行ってみようか。
そう思う気持ちと、でもみんなに勝手に外に出てはいけないと言われているから…という気持ちと。二つの気持ちが自分の中でせめぎあう。
「おい、どうした!ぼーっとして!」
「し、晋作さん!!」
急に現れた晋作さんにびっくりして思わずのけぞった。……どうしてこの人はこうも神出鬼没なんだろう(苦笑)
「何を考えてた?ん?言ってみろ!」
優しい表情でそう聞かれて。わたしは、本当に無意識に、ぽろっと洩らしてしまう。
「晋作さんのこと、考えてた」
「本当か!?」
「本当。嘘だと思うの?」
問うと、頬を赤らめた晋作さんが「そんなことは…」とかなんとか言いながら口ごもる。
……なんだか、珍しい物を見た!!
「どうしたの?晋作さん」
「どうしたってお前!好きな女に、貴方のことを考えていたの…なーんて言われたら、嬉しいだろうが!!」
そ…そんな女の子らしく言ってないと思うけどな…(汗)
なんか、そんな風に言われて照れられると、こっちも照れてしまう……。
そんなわたしの前で、晋作さんは肩を落として溜息をついた。
「それにしても、馬が言う事を聞きやしねぇ!」
「…馬?」
言われて、思い当たる。そういえば朝から賑やかだったっけ。
「今日は1日ヒマだから、お前を馬で遠乗りに連れて行ってやろうとしてたんだ。……せっかくお前に気晴らしをさせてやれると思ったのにな」
苦笑して申し訳なさそうに言う晋作さんの言葉が、わたしにはとても嬉しかった。
そっか、わたしのためだったんだ……。
「わたし、その気持ちだけで嬉しいよ」
言うと、晋作さんがわたしを見て嬉しそうに笑ってくれる。うん。晋作さんがそんな風に考えてくれてたのが、とても嬉しい。
「…それに」
「それに?」
「わたし、晋作さんと2人で、ゆっくり散歩できればそれでいい」
「そうか……。そうだな!よし、あの神社に行ってみるか!」
「え…?」
あの神社、と言われてドキッとした。なんで、この人は……。まるでわたしの考えていたことなんてお見通しと言わんばかりに……。
「なんでって?だってお前、行ってみたいだろう?」
きょとんとして、晋作さんが答える。「遠慮するなんて、らしくないぞ」なんて言いながら。
「お前が未来に戻れる手掛かりが見つかるかもしれないからな!さぁ、行くぞ!」
明るく言われて、わたしは複雑な気持ちのままで晋作さんの後に続く。
……なんだか、足が重い。
晋作さんは、わたしが未来へ帰る方法を見つけようとしてくれている。…わたしのために。
でも、彼は言葉に出しては『わたしを好きだ』と言っていた。
それって……どういうこと?なのかな。わたしが帰ることになれば、晋作さんと離れてしまうことになる。…きっと、もう一生会うことなんてない。
晋作さんが本当に…言葉通りに思ってくれているとするのなら、それでもいいのかな。
……わたし……わたしは……。
「おいこら高杉君、どこへ行く!」
ちょうど藩邸を出ようとした時、聞いたことのある声が晋作さんを呼び止める。
「あれ?大久保さん、どうしたんだ?」
晋作さんがわたしの隣でそう聞くと、大久保さんがにやりと笑って言った。
「どうしたもこうしたもない。吉報だ」
「吉報?」
「ああそうだ。岩倉が倒幕へ転換した」
大久保さんの言葉に、晋作さんが思わず…という感じで一歩踏み出した。
「岩倉が!?あれは、公武合体を推してたじゃないか!」
「ふん。ようやく現実がみえたんだろうよ。……で、例の客も明日には到着する予定だ。故、外などぶらつかず今日は藩邸で大人しくしていることだ」
ふふん。という声が聞こえそうな大久保さんの物言いに、けれど晋作さんはいつもの調子で、わたしの手を握って大久保さんの横を通り抜ける。
「ま、それはそれ!これはこれだ!!」
「ちょっ!」
わたしは強引に歩き出す晋作さんの手を必死で掴んで引き止める。晋作さんが不思議そうに振り返った。
「なんだ?どうしたんだ?」
「ねぇ、よくわからないけど、大事なことなんでしょ?今日は藩邸にいようよ」
背後で大久保さんの「ほう?」という小さな声が聞こえた。
晋作さんは、怪訝そうな顔をしてわたしを見る。
「だが、おまえだって少しでも戻る手掛かりが欲しいだろうが」
「それはそうだけど、神社はいつでも行けるよ!」
「いや、だから…」
ねぇ?よくわからないのよ、晋作さん。わたしも。
神社に行きたいような、行きたくないような。だから、もう少し……本当はもう少し待って欲しいの。わたしが、何を望んでいるのか。もうちょっと……見えるまで。
「うん!はい。決定!今日は藩邸にいること!」
にっこり笑って言い切ると、一瞬驚いたような顔をした晋作さんが、つまらなさそうな表情を浮かべて「ちぇっ……」とこぼす。
よし!諦めてくれた!
わたしは、神社に行かなくてもいい口実を得られて。うまく理由をこじつけられてホッとしていた。
と、背後で笑い声が聞こえる。最初だけは遠慮気味に。だけど、後半遠慮なく。
「くくっ……はははっ!!!やるな、小娘!」
「え…?」
振り返ると、よくやった…とでも言いたげな表情の大久保さん。
「天下の高杉晋作をこうも手懐けたか。お前たちは会うたびに面白い余興を見せるな」
そう言ってひとしきり笑うと、気が済んだのか「私はこれで」と言ってご機嫌な様子で帰っていく。
……わたしが晋作さんを手懐ける???そんなこと、出来てるワケないじゃない。
大久保さんの勘違いだよ…。
思いながら去っていく彼の後姿を見送っていると、入れ違いに大きな台車に乗った荷物が藩邸に運び込まれてきた。
「…すごい荷物…」
呆然と見守るわたしの横で、「おっ!!例のあれか!!」と晋作さんがなんだか大喜びな様子で。
「ねぇ、晋作さん。これは何?」
問うわたしに、晋作さんがにんまりと笑って「明日まで楽しみにしておけ」と内容を教えてくれない。……なんなんだろう…。もったいぶらずに教えてくれればいいのにな…。
気になって眠れなかったらどうするのよ、ねぇ??
詮索しても無駄か…と諦めたわたしがふと荷物から視線を外すと、荷を運んできた人たちが暑さから井戸を探しているのに気がついた。
「井戸ならわたし、案内しますよ」
晋作さんの側にいたら、荷物の中身も気になるし、それに……わたしの中のもやもやとした気持ちにもどうしても目を向けなければならなくなる。
……じっとしていて色々考えてしまうなら、動いている方が性に合っている。
わたしはそのまま、彼らの案内で走り回ることになった。

そして、その夜。
わたしは自分の部屋に戻るなり、手足を畳に投げ出した。
うーん。。。何日か部活動を休んでいる状況で久しぶりに物凄い勢いで動き回っちゃったな……。疲れた。
そのまま畳に倒れこんでいたわたしの耳に、楽器のような…音色が聞こえてきた。
日頃は聞きなれないその音に、わたしは起き上がり音色を辿って歩いていく。
すると。
楽器…三味線を弾く、晋作さんの姿がそこにあった。
月明かりの下、縁側に座って目を伏せて。……わたしは、三味線の曲なんて正直全然わからないけど。
月明かりに照らされた晋作さんは、すごく……格好良くて。
わたしはしばらく声をかけることすら出来ずに立ち尽くしていた。
その時、ふと晋作さんが顔を上げて。視線が合う。
晋作さんは嬉しそうにニコリと笑うと、わたしに手招きをした。それが嬉しくて、晋作さんの側に行く。
「なんだ、いつからそこにいたんだ?」
「えっと、ほんの少し前だよ」
答えながら腰掛ける。
「声をかけりゃあ良かったのに」
「そうなんだけど、びっくりしちゃって。晋作さんが三味線弾くなんて」
「ははは!なんだそりゃ、失礼な奴だな!」
いやいやいや。よぉく自分を鑑みてくださいよ。意外だと思いますよ?晋作さんに三味線。
…とは言わず(笑)聞いてみる。
「晋作さん、三味線弾くの好きなの?」
「ああ、好きだ」
手元の三味線に視線を落とし、優しげに微笑む晋作さん。
「そっか。……どんな時に弾くの?」
静か動かと言われれば、どちらかといえば後者のイメージが強いこの人が、何を思って三味線を弾くのか……あんな切なげな音色を奏でるのか、気になった。
「そうだな…。雑念が多い時なんぞは、自分の心を落ち着かせるために弾いたりする」
「…心を?」
「ああ、無心になれるような気がするしな」
答えて、それからふとわたしを見る。
「だが、なんでそんな事を聞くんだ?」
答えることに、躊躇わなかった。わたしは晋作さんを見上げたままで真っ直ぐ見つめて答える。
「格好よかったから」
「へ?」
「格好よかったから」
「な、なんだそりゃ!」
段々、わかってきてるんだよ??晋作さんが結構照れ屋さんだとか。ストレートにものを言うくせに、ストレートに言われるのは弱い、だとか。
ちょっとずつ、知っていく…知っていける貴方が、好きだと思ってる。
「三味線弾いてる晋作さん見て、格好いいなって思ったから!」
「ま…まったくこいつは……!」
誤魔化すように晋作さんが大声を張り上げた。
「よし!じゃあ、お前のことをどれだけ好きか、このオレ様が都都逸で歌ってやる!聞けっ!」
庭に下りた晋作さんが、ビーン!と三味線をつま弾く。
『どどいつ』ってなんだろう…とは思ったけど、間もなく歌いだした晋作さんの声にただ耳を傾けることにする。
「三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい」
よく通る晋作さんの声が、済んだ空気の中三味線の音とともに響く。
月の光を背にした晋作さんのその姿は、本当に本当にステキで…。息をしてこの空気を壊すことすら、してはいけないように感じた。

歌い終えた晋作さんと、彼の部屋に戻ってくると。
「ははは!それなりに緊張するもんだな!」
晋作さんが照れ隠しのようにそう言って大声で笑う。
「で、どうだった?」
そう言って、真っ直ぐこっちを向いてわたしの返事を待つ晋作さん。
わたしは素直に答える。
「すごく……すごく感動した!」
「よし!」
「だけど、その…」
「ん?なんだ?」
軽く聞いて来る晋作さんに……その点だけは言いにくい。。。
けど、聞いておかないと……。
意味が……よくわからなかったんだ、と。
歌っている分にはもちろんいいのだけど、いかんせんわたしには難しい…。
それも素直に言ってしまうと、晋作さんは優しく答えてくれる。
「意味か…。まぁ、簡単に言えば……」
「うん」
「世界の全ての奴をぶっ殺してでも、おまえとずっと一緒に在りたい!って感じか?」
「ええっ!何それっ!」
あんなキレイな旋律とは正反対のその説明にわたしは思わず笑ってしまった。
と、頭にのせられる晋作さんのあったかくて、大きな手。
「…どうしたの?」
「お前の頭は、いい子いい子してやりたくなる頭なんだ」
微笑んで、わたしの頭を撫でる手はやっぱり優しくて。
……色々言うくせに、結局そうやって子供扱いするんだから……。
そう思って、少しムクれたわたしの目の前に、突然かんざしが差し出された。
……どこかで見たことのある、それ。
「え、これっ!」
あのお祭りの夜。わたしが欲しかったあのかんざし。
思わず晋作さんを見上げる。
「そんな可愛い頭のお前に、似合うと思ってな」
「でもこれ、わたしが欲しかったかんざし!どうしてわかったの!?」
「前にも言ったろう?惚れた女の事は、何でもわかる!」
手渡されたかんざしに視線を落とす。手も、心も。なんだかあったかい。
「…うれしい。すっごくうれしい!ありがとう、晋作さん!」
答えたわたしに満足そうに笑うと、晋作さんは言う。
「よし!機嫌は直ったな?じゃあ、イイ子はさっさと風呂に入って寝ろ!」
「もう!また子供扱いするんだから!」
わたしはすっくと立ち上がる。かんざしは握り締めたまま。
「おやすみなさいっ!」
わたしは、そう言って晋作さんの部屋を後にした。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

「お前とずっと一緒に在りたい……」
晋作は、ついさっき少女が出て行った戸口を見つめていた。
「だから……」
一瞬言葉に詰まる。続けたい言葉など一つしかない。
「…───帰るな…か」
さっき。
危うく言いそうになった言葉を、独り呟いた。
晋作は、彼女に。「必ず帰してやる」と約束した。
だから。
拳をきつく握り締めて、窓から月を見上げる。……そして、自嘲した。
「なーに。単なる月夜の独り言だ」
大丈夫だと。自分に言い聞かせる。
大丈夫、自分は出来る。
繋いだ手を、放すことくらい……。

彼の気持ちには関係なく、夜はただ更けていく……。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


と、いうわけで!八話でしたーーーっ!!!
ここでついに大変な事態に……っ!そう。レヴューの途中でたまらん眠くなり、二日かけて書くハメになりました。
……いやぁ…ずっと睡眠不足だからな……。
これ、書いてると時間かかるんだよな……。(平均2、3時間(爆))
でも、ずっと気になっていたことを試すイミでも良かったです。
今回一時中断してから再開した事で、『プレイ制限は、ゲームを開始した時間から換算される』とか『一時中断しても、過去ログは遡れる』など。
……章を終わらせさえしなければ大丈夫だな!と、心強い気分になりました。(いや、そもそも過去ログなんてほとんど必要ないんですけど、けど、こういった形態でレヴュー書いたら、ねぇ……。どうしても……)
あと、頑張れば20時間ごとに起動してちょっとでもはやく読み進めることが可能、と。

…晋作の次のキャラは、楽しくやろう……(遠い目)
今更コレはやめれないし(爆)

さておき。
なんだかもう、もどかしくてたまらないんですがーーーーっ!!!
主人公ちゃんが鈍いのがマズいんでしょうねぇ……。多分。
加えて晋作が若干……奥手っぽい……??(苦笑)だめだーーーーっ!!こんなカップルッ!!!!
と、いう、ダメ出しがモロに反映された内容になっていってるのがわかって…スミマセン。
ゲームはやっていない、というアナタ。実際の主人公ちゃんは乙女心ってモノがわかってないので、揺れる感じが薄いです…(笑)いや、あたしがベタ過ぎ(好き)なのか・・・?
個人的には、アレです。理想は『天は赤い河のほとり』な展開が理想なんですけど、晋作の鉄の理性が邪魔をする~~~(爆)


今日の選択肢
晋作さんのこと(花)
三味線弾くの好き?(スチルなんで、反応がわからない…)

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