「うわっ!くるなっ!!」
「高杉さん、がんばれ!」
あの後、すぐ高杉さんは帰ってきて。それから今までずっとわたしの部屋にいる。
で、何をしているかと言うと。
携帯のゲーム。
確かに圏外にはなっているけど、携帯自体に落としてあるゲームならできると思ってv
うーん。さすが文明の利器☆
案の定、珍しい物好きであるらしい高杉さんは子供のように夢中になってゲームをしている。
……しかも、わたしよりウマいでやんの……。
最初こそ下手っぴだったけど、いまやわたしだって見たことのない面を爆走中。
さらに、わたしが思いつかなかったような技を使ってどんどんクリアしていく。
「高杉さんってすごいですね!身体を動かすのが得意なのは…まぁ、わかりましたけど。頭もいいんだなぁ」
「ははは、なんだそれは!オレなんて大した事はないぞ!」
一瞬驚いた顔をした高杉さんが、笑う。
「謙遜ですか?」
「いや、謙遜じゃない。以前は他の奴らより頭がいいと、得意になっていたがな!」
「今は違うんですか?」
問うと、高杉さんはある人との出会いがそんな考えを変えたのだと答える。『吉田松陰先生』という人。高杉さんがあんまり目を輝かせて話すものだから、つい聞いてしまう。
「その人は、今どこに?」
言葉に、珍しく高杉さんが表情を曇らせて目を伏せた。
「死んだ。……打ち首になったんだ」
しまった、と思った。変なこと、聞いちゃった。
謝ると、高杉さんはふっと笑う。
「いや、気にすることはない。聞きたい事はなんでも聞けといったのは、オレだからな」
「……はい」
と、口では答えたものの。しっかり表情に「やってしまいました」と出ていたらしい。高杉さんが苦笑して言う。最近、何度も言ってくれているあんな風に。
「ほーら、そんな顔するな!」
確かに先生は亡くなったが、その志は高杉さんや桂さんの中に生きているから。と。
優しい表情で話す高杉さんにほっとするわたしに、少しだけ吉田先生の話をしてくれた。
彼の教えてくれたことの中には『飛耳長目』というものがあり。あらゆる物事に対して、常に敏感であり、多くの情報を得ることなのだという。(なるほど、なんだか高杉さん見てるとわかるような気もする…)多少の意味合いは違うけれど、わたしの荷物や…ゲーム。そしてわたしの知識だって、どこかで活かせる時がくる。と。励ましてくれる。
「お前は凄い!自信を持て!」
高杉さんに言われると、不思議で。嬉しい。心からそう言ってくれてるのが伝わって、温かい気持ちになる。
ふと、そんな中高杉さんが目をこする。
「目が痛いな…やりすぎたか?」
確かに、慣れないモノだしあれだけ集中してやってたら目だって疲れるよね。
遠くを見るほうがいいだろうと思って、わたしは夜の縁側に高杉さんを誘った。

「うわー!キレイな月!高杉さんも見て見て!」
わたし達は並んで縁側に腰掛けた。満月に近い大きな月がわたし達を照らし出す。星も霞んでしまうほど、晧々とした月。
しばらく月に見惚れて、そして。さっきから心の奥でずっと気になっていた件を、高杉さんに伝えることにした。
「あの、高杉さん。さっきのことなんですけど……」
「さっき?」
う……改めて蒸し返すの、勇気がいるなぁ……。怯みそうになる自分に「さっきちゃんと言うって決めたでしょ!?」と言い聞かせて、口を開く。
「さっき…その……。大久保さんと高杉さんのどっちか選べって言われた、あれです」
「あー!あれか!」
思い出した様子の高杉さんは、目に見えてわかるほどシュンとなる。
ああ……罪悪感(汗)
「あの答えは、我ながらかなりの痛手を負ったぞ!」
やっぱりやっぱり、全力でフォローしなきゃ!!!このまま誤解されたままっていうのは…ちょっとっ!その……心が苦しい……っ。
「は……恥ずかしかったんです!」
「恥ずかしかった?」
「だから…その……。本当は、わたし。高杉さんがいるから、長州藩邸がいいって。そう、言おうと思ったんです……」
「そうなのか?」
なんか……。また、段々恥ずかしくなってきたんだけどっ…!!!
イヤ、逃げちゃダメだ!!!ここまで言ったんだから、もう逃げれないでしょ!!!
「はい…。でも、周りにみんないたし、恥ずかしくて、苦し紛れにあんな……だから、あんな風に言っちゃって、ごめんなさい!」
謝って、スッキリした気持ちで高杉さんを見上げると。高杉さんは満面の笑顔で。
だから、わたしはやっぱり言ってよかったと確信する。
「気にするな。オレは嬉しい」
それだけ、高杉さんが答えてくれて。後は二人で一緒に、ただ黙って夜空を見上げる。
…しばらく無言だったけど、なんだかわたし達の周りの空気は穏やかで。
ずっとこうしてたいなって、純粋に思った。
「なぁ…」
しばらくの沈黙の後で、高杉さんが口を開く。わたしは隣の高杉さんを見上げるけど、彼は変わらず夜空に視線をやったままだ。
……なんだろう?
「お前、やっぱり元の世界に、帰りたいか?」
「え……」
突然すぎる質問に、言葉がつまる。
「正直に言え」
高杉さんに促されても、わたしは答えられないままだった。考えるまでも、ないことのハズ、なのに。
……もとの世界に帰るって事は、この世界とはサヨナラするってことで……。
わたしは。
「どうした?」
「わたしは……」
「ん?」
スカートの上で重ねた自分の手をぎゅっと握り締める。
「わたしは、高杉さんにもみんなにもとても良くしてもらって、ここが大好きです」
「ん」
「だけど……」
「帰りたいか」
「……はい」(うわ~~~~!!!!!ストーリーの中で答えちゃった!強制イベントだよ(爆)てっきり何か選択肢が出るかと~~~(笑)まぁ、でも当たり前か)
すごく。…何故かすごく複雑な思いで答えたわたしに、高杉さんは立ち上がり、月を背にわたしに言った。
「よし、わかった!お前はオレが必ず元の世界に帰してやる!」
「え」
あっさり、そんなことを言われて。わたしの心の中は余計に複雑になる。
嬉しいような……。それとも、違うような……?
「お前の望みを叶えてやれるのは、オレだけだ!このオレが必ずお前を帰してやる!」
「高杉さん…」
わたしも、思わず立ち上がって。高杉さんをじっと見つめる。
どうしよう。なんて言えばいいんだろう。自分の中がぐちゃぐちゃで何も言えない。
「…こら。そんな可愛い顔してたらこのまま抱きしめたくなるだろうが!」
「えっ!だっダメです!そんなっ!」
カッと、頬が熱くなる。そんなわたしに、高杉さんはいつものように「いつかはその気にさせる」からと……さっき言ったこととはまるで違うようなことを言って。わたしの頭をまたぐりぐり撫でる。
どう考えても、これは子供扱いだと思うのよね。
どう考えても、好きな相手にする行動じゃないと思うのよね?
……まぁ、だからと言って高杉さんにすごく真剣に迫られても困る……と、思うんだけど。。。
「お前が可愛いからしたくなるんだ!許せ!」
悪びれる様子もなくそう言う高杉さんに、いちいちドキドキする。
可愛いと、そう言われる度に嬉しくてくすぐったい。
そんな時だ。桂さんがわたし達に声をかけたのは。お風呂が沸いたことを教えてくれて「お邪魔だったかな?」と笑う。
桂さんに促された高杉さんが、また「一緒に入るか?」とかわたしをからかってから…一人去っていく。
少しだけ、ホッとした。桂さんが来てくれて。
高杉さんが、あんな風にわたしを見る度によくわからない感情が胸に広がる。
どうしていいのかわからなくて、しかも、自分でもどうしようもない気持ち。
振り回されたり、からかわれたり。マイペースな高杉さんにはいつだって敵わない。
それが、最近なんだか楽しかったり嬉しかったりして、それは。
もしかして、わたし、高杉さんのこと……。


翌朝。
スズメの声を目覚まし代わりに目を開けると、そこにはわたしを覗き込んでいる高杉さんの顔があった。
心臓が止まりそうなほどの衝撃に、なんとか平静を保とうと努力しながら口を開く。
「何してるんですか!」
「何って、お前の寝顔を見てた」
ってーーーーーー!!!なんてこと言うのっ!!
「なんでですか!」
「可愛かったからだ!」
朝からいけしゃあしゃあとっ!!!!起き抜けの心臓に悪いんですけどッ!!!!(泣)
「もう!勝手に部屋に入らないで下さい!」
高杉さんからじりじり離れて、慌てて服とか髪とか整える。……ううう……。自分の寝顔なんて見たことないけど、どう考えたって可愛いんじゃなくて間抜けなんじゃ……??
うう、恥ずかしいよぅ。。。
……ん?そういえば、なんか、反応ないなあ。高杉さん。
いつもだったら豪快に笑い飛ばすトコだと思うけど……。見やるとなにやら微妙な表情でわたしを見ている。
「……高杉さん?」
「お前……その他人行儀な言葉遣いなんだが、やめろ!!」
……え??
「聞けば、中岡の事は『慎ちゃん』と呼んでいるそうじゃないか!!」
……まぁた、どうでもいい情報を……。そもそもアレは慎ちゃんにハメられただけであって。
「オレだって晋ちゃんだ!ずるいぞ!」
「あ…」
まぁ、確かにそう言われてみれば……(苦笑)そうかも?
けど、この人……。
「もう!すねないで下さい!」
なんだか可愛いなぁ……。晋ちゃんを盗られた!とか言っている高杉さんが、年上(推定)とは思えない。
「お前の、その、特別っぽいじゃないか……!」
……別に、そんなつもりじゃないけどなぁ……。でも、高杉さんを『晋ちゃん』とはとても呼べないし…。ちょっとこの人には子供っぽ過ぎる、よね?
「それじゃあ……晋作さん……で、どうですか?」
わたしの提案に、高杉さんが目を輝かせて身体を乗り出してくる。
どうやら気に入ってくれたらしい。今後はそう呼ぶように、と念押しされて。そして。
口調ももっと砕けたものに変えるように、と言われる。
……ん~。なんだか難しいなぁ(笑)同級生の友達だと思って話すといいのかな?
「じゃあ今日はこのまま出かけるぞ!」
「え…?どこへ?」
「例の寺を探しに行く!」
笑ってそう言う晋作さんにわたしは付いていくことにした。

昼間の京都の人通りは多い。
素直な感想を漏らすと、チラリと横目でわたしを見ながら晋作さんが言う。
「まぁな。夜に出歩く奴なんて、ほとんどいない。ましてや若い娘なんかはな!」
「う…だから、あの時のことは反省してるってば!」
「だが、おかげで、オレはお前の怯える可愛い姿も見られたがな!」
あぁぁぁ!!!!どんな趣味してるんだろう!晋作さんはッ!!!
恥ずかしいやらなんやらで頭を抱えるわたしの横で彼はいつものように笑っている。
でも、こんな他愛のないやりとりが楽しくて。うん。すごく、幸せだと思う。

道中で土佐藩邸に行った帰りの慎ちゃんに出会う。そして気さくに声をかけてくれた慎ちゃんに対する晋作さんの態度は……明らかに、おかしかった(笑)
「そりゃ~お疲れだったね~『しんちゃん』」
「慎ちゃんって!どうしたッスか?高杉さん」
怪訝な顔をする慎ちゃんに、半眼の晋作さんはそらっと答える。
「別にどうもしないぜ。『しんちゃん』」
……イヤイヤイヤ。どうかしてるって……。そりゃ、慎ちゃんもビクつくよ。。。
晋作さん、よっぽど根に持ってるのね……。慎ちゃんに絡むとは…。
どうしようもない展開になりそうだったので、わたしは二人の間に割って入る。
「あ。ほら!!!あっちの方がなんだか賑やかだけどなんだろう!」
話題を逸らすための口実ではあったけど、確かに通りの少し離れた辺りは人が行き交っていて、なにやら賑やかだった。
慎ちゃんが「今日の夜、祭りがあるらしいっスよ」と、教えてくれる。
「いいなぁ、お祭りかぁ……」
わたしも、よく友達と一緒に行ってたなぁ…!
「じゃあおれ、そろそろ行くっス!」
わざわざ挨拶する為だけに声をかけてくれたらしい慎ちゃんが去っても、わたしはそのお祭りの準備が気になっていた。
「祭り、好きなのか?」
「うん、すっごく好き!」
答えると、また晋作さんは「未来にも祭りはあるのか」とか「どんな身分の人が行くのか」とか聞いて来る。……ん?どんな身分???
「お祭りは、身分とか関係なくてみんなが楽しむ為にあるの!」
答えると、晋作さんは神妙な顔をして考え込んだ。……なんだろ。
「…晋作さん?」
「よし!今晩の予定は決まったな!」
え??っていうことは、もしかして~!!!
「今晩は一緒に祭りに行くぞ!」
「ほんと!?嬉しいっ!」
「ははっ!お前のそんな顔が見れるなら、祭りくらいいくらでも行ってやる」
晋作さんも、嬉しそうに笑うから。わたしもすごく嬉しかった。
それが、どういうことなのか。知りもしなかったから。

結局なんの収穫もなく藩邸に戻ったわたしが、それでもご機嫌で廊下を歩いていると桂さんと遭遇した。
折角だから、とお祭りに桂さんも誘うと、帰ってきたのは意外な言葉だった。
「武士は祭りなど行くものではない」
だから自分は行かないし、晋作さんは桂さんが言ってもやめたりしないだろうから私から言って行かないようにしてくれ、と。お願い、されてしまった。
……武士は行かないものって。
…だったらどうして晋作さんは行こうって言ってくれたんだろ。……わたしが行きたいって言ったから…??
それくらいしか、理由が思いつかない。
でも、険しい顔をした桂さんを見たら、きっとそれがこの世界での当然のことなんだろうってことは良くわかった。
多分、お祭りに行ってはダメなんだ。
「……」
わたしは、晋作さんに無理ばかり言っているのかもしれない。わたしが知らないだけで、もしかしたら他にも。

そして、夜。
わたしは頭から布団にもぐりこんでいた。上手いこと言える自信なんてなかったし、第一どういう顔をしていいかわからない。
そんなワケで、仮病を選択したのだ。……そこへ。
「支度はできたか!祭りに行くぞ!」
わたしは、晋作さんにそう声をかけられても動かなかった。布団の中でじっとしている。
「おい!どうした!具合でも悪いのか!?」
明らかに慌てる声に、わたしは罪悪感を抱きながら声を絞り出す。
「その……ちょっと、熱が、あって」
「顔を出せ」
言われて……少し戸惑う。顔……出して、目を見て。嘘つける自信がない……。
晋作さんに敵わない。
続く沈黙。どうしようもない状況。
わたしは、そろ~っと、少しだけ顔を覗かせる。
「どれ」
晋作さんがわたしのおでこに自分のおでこをくっつける。動揺するわたしをよそに、晋作さんはおでこを離すと「熱なんかないじゃないか!」と言う。
いや……別の意味で身体が熱いですけど、わたし。。。
「まず、その布団から出てこい!」
晋作さんが強引にわたしを布団から引っ張り出してその上に正座させた。
「さあ、納得のいく説明をしろ!昼間あんなに楽しみにしてただろう!」
「それは…わたし、武士はお祭りに行ったらいけないんだって知らなかったから。晋作さん、そうでなくても偉い人なのに……」
ぽつりともらすと、晋作さんはそれは大きな溜息をついた。
「大方そんなことを言うのは小五郎だろう」
……ッバレてる!?
「いえ…その…!」
「お前はそんなこと気にしなくていい」
「でも……」
「いいか?祭りに行きたいのはこのオレ様なんだ」
あああああ……!!!!雲行きが怪しげな方向へ……。状況が違うけど似たようなパターンを私はもうこの数日で経験したはずだ…!
そして、だから晋作さんには敵わないと思っているワケで…!
「お前はオレに、無理矢理祭りに連れて行かれただけだ!行くぞ!!」
そう言うなり、晋作さんがわたしの手をとって立ち上がる。
そして(晋作さんの言葉を借りるなら『無理矢理』)連れて行かれたのだった。
繋いだ手が、温かくて。だから、これが悪いことだとわかっていても、わたしはとても嬉しかった。

神社につくと、わたしが知らないような屋台がたくさん並んでいて。
物珍しさでテンションがあがるわたしとは別に、晋作さんのテンションも高かった(笑)
確かに、晋作さんがお祭りに来たかった……と言うのは、口実ではなくて真実ではあったんだろうと思わせる。
汁粉屋や…他にも色々店をまわって。わたしはふと小物屋に目を留める。
見つけたのは、黄色と黒のかんざし。
そっと手に取って、笑う。
なんだか、晋作さんの着物の色合いに似てるんだよね~。それに、キレイ。
普段は当然こんな…かんざしなんて使ったりしないんだけど。何故だか無性に欲しくなった。
けど。
……わたし、当然だけどこの世界のお金がないんだよね~。。。
しょうがない。諦めてかんざしを元に戻すと後ろから晋作さんに声をかけられる。
「どうした?」
「ううん!なんでもないよ、行こ!」
その店を後にして、他にもたくさんある店を見て回る。知らない店を見てまわるのは凄く楽しくて。
だから、わたしは夢中になりすぎて晋作さんと完全にはぐれてしまった。
行き交う人ごみの中に、見慣れたあの姿が見つからない。
どうしよう…どうしたらいいんだろう…!!
彼の姿が見えない。ただそれだけでわたしは、急に心細くなった。……随分な刷り込みだ。
……とにかく、晋作さんを探さなきゃ!
「晋作さーん!!晋作さーん!!」
恥ずかしいのを堪えて叫んでみても、祭囃子や人ごみに掻き消されてしまう。
どうしよう…。はぐれた時の待ち合わせ場所とか決めておけば良かったけど、嬉しくてそんなことまで気が回らなかった……。
……怖い。
この間とは全然状況が違うのに、こんなにたくさんまわりに人が居るのに。どうしようもない孤独感を感じる。
歩き回ることしかできない、わたし。
その時。わたしは、数少ない顔見知り(?)にバッタリ遭遇する。
こんな所で、会いたくなかった顔に。
「あれ~?あんた、この間の……」
ッ!!!この間の酔っ払い二人組だ。なんで、こんな時にッ!!
「オレ達義理堅いんだよね~。ちゃんとお礼しなくちゃな?」
ニヤニヤ笑う男たち。
じりじりと後退るわたし…。
晋作さん……、晋作さんッ!!!!どうしよう!!!!

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その頃、晋作は少女が目を留めていた小物屋に立っていた。
自分がちょっと目を離したその隙に、少女はそこで何かを見つけて確かに微笑んでいた。
あんな顔をさせるものなら、是非与えてやりたいと思った。
……『帰りたい』と。
そう答えることすら躊躇うほどに、自分の望みを言葉にしない少女だ。
ならば、せめて表情からでも彼女の思いを汲み取りたい、と。そう思っていた。その矢先のあのカオ。
「さっきあいつが、可愛い~顔して見てたのは……お、これか!……ん?」
顔が。身体が熱くなるのがわかる。
自分の着物の柄を彷彿とさせる、そのかんざし。それを見て可愛らしく微笑む彼女。
それは、何を意味するのだろう……。
「オヤジ!これをくれ!」
その時の彼の中には、彼女の喜ぶ顔しか存在していなかった。きっと、これを渡せばまた笑ってくれるだろう。
いつものような、あの笑顔で。


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はい!とゆートコまでが第六話でしたーーーー!!!!!
毎度毎度夜中まで起きてて書いてるんですけど(むしろ明け方???)どうしよう(苦笑)
今回スゴいとこで終わっちゃいましたよ…(悲鳴)
た……助けてッ!!晋作さんっ(泣)
いやさ、あの笛の出番かッ!!?などと思いつつ(笑)
しかしまぁ。あのチンピラ。どうなんでしょうかねぇ……。バックが高杉晋作だと知ってて喧嘩吹っかけようとするのはお利口さんとは言えないような???(苦笑)別に、利用しようと思ってるワケでもなさそうだし。


あ…明日が気になるッ!!!はやく配信してくれぃっ(笑)
しんちゃん、しんちゃんとネチネチ言ってる晋作は萌えだ!!!と思いつつ、眠りにつきたいと思います(笑)
可愛い…。マジ可愛い……っ!!!


今日の選択肢
すねないで下さい(花)
汁粉屋

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