幕恋 『高杉晋作 第四話』
2009年12月4日 携帯アプリ翌日の朝。
実は以蔵の一件から藩邸に泊まっていた武市さんと中岡さん(以下慎ちゃんで…(汗))が、寺田屋に帰っていった。
…なんだか、大事な会合があるから…とかなんとか。毎日毎日大変だなぁ…。
そんな中で、慎ちゃんが気になる言葉を残していった。
「昨日の夜、桂さん…すごい心配してたっスよ。だから、頑張って下さいっス」
…イミわかんないし。
心配→頑張れって話がつながってないじゃん。。。
「え…?それ、どういう意味……」
聞き返そうとしたら、強引に。迫力のある笑顔を浮かべた桂さんに遮られ……。明らかに「しまった!!」という顔をした慎ちゃんが、脱兎のごとく逃げていく。
……嫌な予感……(汗)
彼らを見送ってわたしも一度自分の部屋に戻ろうとした、その時。
その笑顔そのままで、桂さんに呼び止められて。…わたしは、桂さんに促されるまま歩いていき……高杉さんのもとまで案内された。
「よぉ!調子はどうだ?」
と…いつもの調子の高杉さん。
一瞬で、昨夜の高杉さんを思い出す。助けに、来てくれたんだよね…。この人。
何の義理もないはずの、まだ出会って何日かの、わたしを。
そう思ったら、なんだか急に恥ずかしくなって。わたしは慌てて高杉さんから視線を逸らした。
その時、横から桂さんが座るように促してきたので、なんとなく正座をして桂さんを見つめる。
……桂さんもわたしを真っ直ぐに見つめてて、しばし、沈黙。
…うぅ…慎ちゃんの言葉が妙に気になる。。。な、なんだろう。この沈黙は……。
「昨日、一人で外を出歩いていたそうだね」
沈黙の割に軽く、笑顔で尋ねられて。わたしもそれにつられて簡単に口を開いた。
高杉さんを待っていて、退屈だったから外に出てしまったこと。
それから……イロイロ、あったこと。
わたしから話を聞いていくにつれ、桂さんの雰囲気が変わっていくのがわかって、かなり、怖い。
そうだ…。探しにきてくれた高杉さんとは別に、桂さんもすごく心配してくれてたのだと。慎ちゃんが言ってた。
「ここは君が思っているよりも危険なんだ」「君の格好は人目を引く」(だったら服くらい用意してくださいよ…)「夜中に知らぬ男に声をかけるとは滑稽極まりない」「晋作が現れなかったら、命を落としていたかもしれないんだよ?」
桂さんが言う一言一言が、とても重くて。わたしは、俯くことしか出来なかった。
……当たり前だ。だからこんなのは、言われて当然で。
でも、わたしだって、そんなに危険だなんて思ってなくて…だから。
「あー!もうそれくらいにしてやれよ!どう見たって、反省してるじゃないか」
高杉さんが横から助け舟を出してくれるものの、桂さんは余計に強い口調で続ける。
今度は高杉さんが、わたしにはここに関する知識がないことや、土地勘がないことを知っていてなんで放置したのか…とか怒られてる……。
うぅ…、ごめんね…高杉さん……。
が、しかし。そこはさすがの高杉さん(?)突然立ち上がり「あ!そうだっ!!」と叫ぶ。
「何かあっても身を守れるように、こいつと剣の稽古をする約束をしていたんだ!」
え…!?初耳。
戸惑うわたしを尻目に、がしっと腕を掴んで高杉さんが廊下に飛び出した。
…ごめんなさーいっ!!!!桂さぁん!!!!
わたしは、心の中だけで全力で謝っておいた。
「あのままじゃ、日が暮れちまうとこだった!」
廊下に出るなり、高杉さんが快活に笑う。
「これ後で、余計に怒られませんか?」
「そうなったら、その時に考える!!」
…なんて、行き当たりばったりな…(汗)
でもそう返すと、じゃあ説教と庭で素振りとどっちが良かったんだ?と素で問い返された。
……そ、そんなの、……素振りの方が…まだイイ(苦笑)
しぶしぶそう答えると、高杉さんがにんまり笑う。
「お前は、いつも俺と一緒に居たいんだもんな?」
「そっ!そんなこと言ってませんっ!」
いきなりの高杉さんの攻撃に、顔が一気に赤くなるのが自分でもわかった。
「どうした?顔が赤いぞ?風邪でもひいたか」
……こっ……この人っ……!!!
「無理するな!今すぐ安静にして寝ないとな!もちろん、俺が添い寝してやるぞ!」
わかっててやってる!!!!
絶ぇっ対わかっててからかわれてる!!!!
「…!竹刀取ってきますっ!」
そう言い、わたしは顔を背けて大股で部屋に向かう。
「あんま、無理すんなよーっ!」
後ろから、ひょうひょうとした声をかけられて。悔しかったから「してませんっ!」と返しておく。
少し歩いてから、まだ熱い頬に手をあてた。
高杉さんにとってはからかってるだけのつもりでも。こんな風にドキドキさせられてたらこっちの身がもたないよ……。
こっそり、わたしは溜息をついた。
竹刀を取って庭に行くと、そこではもう高杉さんが素振りをしていて。
……なんだろ、昨日も思ったけど高杉さんって…構えとかそういうのすごくキレー。形がすごく決まってて、思わず目を奪われる。
素直にそう思って褒めたら。
「惚れ直したか?」
いつもの笑顔でそんな風に言ってくる。……いつもいつもやられてると思ったら大間違いよっ!?
「惚れ直したというより……ちょっと、悔しくなりました」
「悔しくなった!?なんでだ?」
高杉さんは心底不思議そうに聞き返す。
…そりゃあ。わたしだって結構小さな頃から剣道やってきてるワケだし。それは、好きだったからで。
それを、自分より形がきれいな人を見たりすれば羨ましいし、悔しい。
「もっともっと、上達したいって思うんです」
言って、笑うと高杉さんも笑ってくれる。
「うん。さすがオレが惚れた女だ!!オレは今、無性に嬉しいぞ!」
あぁ…。ほんと、高杉さんの好みがよくわからない…!始終こんなこと言ってるけど、本気なのかなぁ……(苦笑)
「さてと。素振り始めるか」
だって、さっきそんなこと言ったと思ったら、何事もなかったかのように素振りさせますからね。。。
まぁ、いいんですけどね。。。
……いい先生がそばにいれば、わたしももう少し上達できるかもしれない。
そんなわけで、しばらく高杉さんと素振りをしていたら……不意に、さっきの高杉さんと桂さんとのやりとりを思い出した。
…気になりだしたら止まらなくて。素振りをしながら問い掛ける。
あんな感じで話を中断しても良かったのか。こう…二人の仲的に…とか~。
だけど、高杉さんはいつものように笑い飛ばして「絶対大丈夫だ!」と言う。
…絶対の根拠って、なんなんだろう……?そう問えば、高杉さんから意外な問いが返ってきた。
「なぁ、オレと小五郎って、似ていると思うか?」
高杉さんと……桂さん???
素振りを止めて、考えてみる。ん~……そうだなぁ。
「似てるかも」
「ほぉ!似てると言われたのは、初めてだ!」
「そうなんですか?」
聞くと、うんうんと高杉さんが頷く。
「だが、どこが似てる?」
どこ……。どこ、かぁ。どこかって言われると困るけど。
見た目も雰囲気も全然違うし、一見正反対くらいに見えちゃいそうだけど。
だけど、なんだろう。
「同じ感じがするんです。ん~。空気っていうのかな?向かっている方向って言うか…」
なんか、うまく表わせない。上手い言葉が浮かばないっ!
伝わってるのかなぁ…と思って高杉さんを見上げると照れたように笑う彼がいた。
「向かっている方向か……。なんだか嬉しいもんだな!そんな風に言われるのは」
本当に、嬉しそう。こっちも嬉しくなるような笑顔。
「思ったことを言っただけですよ?」
「時に、お前にはそう言った相手はいないのか?」(禁句だろ~~!高杉さん!!!)
たぶん、なんの気なくかけられた高杉さんの言葉に、自分でも身体が凍りつくのがわかった。
真っ先に浮かんだのは、カナちゃん。……どうしてるんだろう……。きっと、心配してるよね……。クラスでも、部活でも。いつも一緒で一番仲良かったカナちゃん。
……今まで思い出さなかったのが不思議なくらいだ……。
や、思い出したくなかっただけ、なのかも知れないけど。
思い出し始めたらどんどん悲しくなって、わたしは高杉さんに答えることも出来ずに俯くしかできなかった。
そんなわたしに気付いて、慌てて高杉さんがフォローしてくれる。
「悩む暇があるなら、解決の為に動け!動いてから悩め!」
オレは、お前の笑った顔が好きだから。
そんな風に。
これは高杉さんなりに、一所懸命励ましてくれてるんだよね…。ん。あんまり心配かけちゃ、ダメだ!
「あの、高杉さん…ありが…」
「よーし、こういう時は風呂だ!!」
「は!?」
ナニ??この唐突な展開!?
「風呂に入って悩みも汗も全部流せ!さあ、一緒に入るぞ!!」
「は、入りません!!」
お礼言おうと思ったのに…!そんな間もなくツッコむ羽目になって。いつもの調子でそう返すと、高杉さんがニヤリと笑った。
「よーし、いつものおまえらしい調子がでてきたな?いつもそれでいろ!」
「あ…」
確かに……そう、かも??
すごく複雑な気分でいると、その間に高杉さんは「誰か、風呂の用意をしろーっ!」とか叫びながら、一人で行ってしまった。
そんな彼の背を見送って。思う。
高杉さんはスゴい人だなぁ……わたしなんかいつも振り回されてばっかりで、付き合うのには相当なパワーが必要そうだ。
そう考えてふっと笑ったわたしに、後ろから声がかかる。
振り返ると、立っていたのは桂さんで。
反射的にさっきの一件を謝ろうとしたわたしを遮って桂さんは微笑んだ。そして、そのままわたしに向かって手を差し出す。……その手のひらに、小さな笛のようなものがあった。
「これ…?」
「もう、昨夜のようなことはないと思いますが…もしもの時はこれをお使いなさい」
そうして、笛をわたしに渡してくれる。
「言ってしまうとね、これは晋作が用意させたのだよ」
「え?」
「幾分、ふざけているように見えたりも、するかもしれないけどね。晋作はああ見えて、とても思慮深い男なんだ。先々のことを、常に考えているんだよ」(とか言ってわたしに渡すってことは、先々にこれを使わないといけないような、ピンチイベントが転がってると…(苦笑))
え?…あれ?さっきは桂さん、高杉さんに考えが足りないとかイロイロ…怒ってたのに。
え???なんで?頭が混乱してくる。。。
そんなわたしには構わず、桂さんは紐を通して首からさげておくように、と伝えて去っていった。
……なんだか、不思議な関係。高杉さんと、桂さんって。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
晋作は、部屋で一人考え込んでいた。思い浮かぶのは、さっきの少女の悲しげなカオ。
突然たった一人で、過去に放り出された少女。不安にならない方がどうかしている。
……泣き出しそうなカオに。そんなカオをさせたことに、心が痛んだ。
今、自分に出来ることはなんなのか。
彼女の言う寺を探して帰してやればいいのだろうか。
…きっと。
帰る方法が見つかれば喜ぶだろう。
寺を見つけて。……あいつを、帰す……?
思い至った結論に、異を唱える自分を。晋作はもう十分自覚している。
帰したくないと。離したくないと。どこかで思う自分がいるのは、紛れもない事実だ。
けれど、帰したくないと自分勝手に願うなら。救わなければならないモノがある。
(過去に、たった一人。……その寂しさを、オレが埋めてやれるのか?)
出会って数日。縁もゆかりもない男。いきなり親兄弟の代わりになれるハズもない。
どうすれば……あの。
向日葵のような明るい笑顔を、守ることができるのだろう……。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「よし!できた!」
わたしは、さっきの笛の穴に紐を通して、自分の首にかけた。
…高杉さんが、わたしのために用意してくれた笛。なんだか、お守りみたいで嬉しい。
小さな笛を、手のひらでぎゅっと握り締める。
……それだけで、なんだか安心できるような気がした。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
と、言うわけで。四話でしたぁ!
晋作さんが既にわりかし本気なトコに若干の違和感を覚えなくもないですが~。まぁ、花を連発している今の主人公ちゃんなら、多少納得???
もうちょっと、高杉さんが主人公を気にする理由のエピソードを入れてれば良かったと思いますけどね~♪
つぅか、現段階でこんな甘いのに……この先どうなるんだろ。まだ十日くらいあるんだよ???そして、その頃までこのレヴューを続けられるのか!!!
うやぁ…。極限への挑戦やね~(爆)
今日の選択肢vv
す、素振りです(花)
ちょっと悔しくなりました(花)
似てるかも(花)
ぱーへくと☆(笑)
実は以蔵の一件から藩邸に泊まっていた武市さんと中岡さん(以下慎ちゃんで…(汗))が、寺田屋に帰っていった。
…なんだか、大事な会合があるから…とかなんとか。毎日毎日大変だなぁ…。
そんな中で、慎ちゃんが気になる言葉を残していった。
「昨日の夜、桂さん…すごい心配してたっスよ。だから、頑張って下さいっス」
…イミわかんないし。
心配→頑張れって話がつながってないじゃん。。。
「え…?それ、どういう意味……」
聞き返そうとしたら、強引に。迫力のある笑顔を浮かべた桂さんに遮られ……。明らかに「しまった!!」という顔をした慎ちゃんが、脱兎のごとく逃げていく。
……嫌な予感……(汗)
彼らを見送ってわたしも一度自分の部屋に戻ろうとした、その時。
その笑顔そのままで、桂さんに呼び止められて。…わたしは、桂さんに促されるまま歩いていき……高杉さんのもとまで案内された。
「よぉ!調子はどうだ?」
と…いつもの調子の高杉さん。
一瞬で、昨夜の高杉さんを思い出す。助けに、来てくれたんだよね…。この人。
何の義理もないはずの、まだ出会って何日かの、わたしを。
そう思ったら、なんだか急に恥ずかしくなって。わたしは慌てて高杉さんから視線を逸らした。
その時、横から桂さんが座るように促してきたので、なんとなく正座をして桂さんを見つめる。
……桂さんもわたしを真っ直ぐに見つめてて、しばし、沈黙。
…うぅ…慎ちゃんの言葉が妙に気になる。。。な、なんだろう。この沈黙は……。
「昨日、一人で外を出歩いていたそうだね」
沈黙の割に軽く、笑顔で尋ねられて。わたしもそれにつられて簡単に口を開いた。
高杉さんを待っていて、退屈だったから外に出てしまったこと。
それから……イロイロ、あったこと。
わたしから話を聞いていくにつれ、桂さんの雰囲気が変わっていくのがわかって、かなり、怖い。
そうだ…。探しにきてくれた高杉さんとは別に、桂さんもすごく心配してくれてたのだと。慎ちゃんが言ってた。
「ここは君が思っているよりも危険なんだ」「君の格好は人目を引く」(だったら服くらい用意してくださいよ…)「夜中に知らぬ男に声をかけるとは滑稽極まりない」「晋作が現れなかったら、命を落としていたかもしれないんだよ?」
桂さんが言う一言一言が、とても重くて。わたしは、俯くことしか出来なかった。
……当たり前だ。だからこんなのは、言われて当然で。
でも、わたしだって、そんなに危険だなんて思ってなくて…だから。
「あー!もうそれくらいにしてやれよ!どう見たって、反省してるじゃないか」
高杉さんが横から助け舟を出してくれるものの、桂さんは余計に強い口調で続ける。
今度は高杉さんが、わたしにはここに関する知識がないことや、土地勘がないことを知っていてなんで放置したのか…とか怒られてる……。
うぅ…、ごめんね…高杉さん……。
が、しかし。そこはさすがの高杉さん(?)突然立ち上がり「あ!そうだっ!!」と叫ぶ。
「何かあっても身を守れるように、こいつと剣の稽古をする約束をしていたんだ!」
え…!?初耳。
戸惑うわたしを尻目に、がしっと腕を掴んで高杉さんが廊下に飛び出した。
…ごめんなさーいっ!!!!桂さぁん!!!!
わたしは、心の中だけで全力で謝っておいた。
「あのままじゃ、日が暮れちまうとこだった!」
廊下に出るなり、高杉さんが快活に笑う。
「これ後で、余計に怒られませんか?」
「そうなったら、その時に考える!!」
…なんて、行き当たりばったりな…(汗)
でもそう返すと、じゃあ説教と庭で素振りとどっちが良かったんだ?と素で問い返された。
……そ、そんなの、……素振りの方が…まだイイ(苦笑)
しぶしぶそう答えると、高杉さんがにんまり笑う。
「お前は、いつも俺と一緒に居たいんだもんな?」
「そっ!そんなこと言ってませんっ!」
いきなりの高杉さんの攻撃に、顔が一気に赤くなるのが自分でもわかった。
「どうした?顔が赤いぞ?風邪でもひいたか」
……こっ……この人っ……!!!
「無理するな!今すぐ安静にして寝ないとな!もちろん、俺が添い寝してやるぞ!」
わかっててやってる!!!!
絶ぇっ対わかっててからかわれてる!!!!
「…!竹刀取ってきますっ!」
そう言い、わたしは顔を背けて大股で部屋に向かう。
「あんま、無理すんなよーっ!」
後ろから、ひょうひょうとした声をかけられて。悔しかったから「してませんっ!」と返しておく。
少し歩いてから、まだ熱い頬に手をあてた。
高杉さんにとってはからかってるだけのつもりでも。こんな風にドキドキさせられてたらこっちの身がもたないよ……。
こっそり、わたしは溜息をついた。
竹刀を取って庭に行くと、そこではもう高杉さんが素振りをしていて。
……なんだろ、昨日も思ったけど高杉さんって…構えとかそういうのすごくキレー。形がすごく決まってて、思わず目を奪われる。
素直にそう思って褒めたら。
「惚れ直したか?」
いつもの笑顔でそんな風に言ってくる。……いつもいつもやられてると思ったら大間違いよっ!?
「惚れ直したというより……ちょっと、悔しくなりました」
「悔しくなった!?なんでだ?」
高杉さんは心底不思議そうに聞き返す。
…そりゃあ。わたしだって結構小さな頃から剣道やってきてるワケだし。それは、好きだったからで。
それを、自分より形がきれいな人を見たりすれば羨ましいし、悔しい。
「もっともっと、上達したいって思うんです」
言って、笑うと高杉さんも笑ってくれる。
「うん。さすがオレが惚れた女だ!!オレは今、無性に嬉しいぞ!」
あぁ…。ほんと、高杉さんの好みがよくわからない…!始終こんなこと言ってるけど、本気なのかなぁ……(苦笑)
「さてと。素振り始めるか」
だって、さっきそんなこと言ったと思ったら、何事もなかったかのように素振りさせますからね。。。
まぁ、いいんですけどね。。。
……いい先生がそばにいれば、わたしももう少し上達できるかもしれない。
そんなわけで、しばらく高杉さんと素振りをしていたら……不意に、さっきの高杉さんと桂さんとのやりとりを思い出した。
…気になりだしたら止まらなくて。素振りをしながら問い掛ける。
あんな感じで話を中断しても良かったのか。こう…二人の仲的に…とか~。
だけど、高杉さんはいつものように笑い飛ばして「絶対大丈夫だ!」と言う。
…絶対の根拠って、なんなんだろう……?そう問えば、高杉さんから意外な問いが返ってきた。
「なぁ、オレと小五郎って、似ていると思うか?」
高杉さんと……桂さん???
素振りを止めて、考えてみる。ん~……そうだなぁ。
「似てるかも」
「ほぉ!似てると言われたのは、初めてだ!」
「そうなんですか?」
聞くと、うんうんと高杉さんが頷く。
「だが、どこが似てる?」
どこ……。どこ、かぁ。どこかって言われると困るけど。
見た目も雰囲気も全然違うし、一見正反対くらいに見えちゃいそうだけど。
だけど、なんだろう。
「同じ感じがするんです。ん~。空気っていうのかな?向かっている方向って言うか…」
なんか、うまく表わせない。上手い言葉が浮かばないっ!
伝わってるのかなぁ…と思って高杉さんを見上げると照れたように笑う彼がいた。
「向かっている方向か……。なんだか嬉しいもんだな!そんな風に言われるのは」
本当に、嬉しそう。こっちも嬉しくなるような笑顔。
「思ったことを言っただけですよ?」
「時に、お前にはそう言った相手はいないのか?」(禁句だろ~~!高杉さん!!!)
たぶん、なんの気なくかけられた高杉さんの言葉に、自分でも身体が凍りつくのがわかった。
真っ先に浮かんだのは、カナちゃん。……どうしてるんだろう……。きっと、心配してるよね……。クラスでも、部活でも。いつも一緒で一番仲良かったカナちゃん。
……今まで思い出さなかったのが不思議なくらいだ……。
や、思い出したくなかっただけ、なのかも知れないけど。
思い出し始めたらどんどん悲しくなって、わたしは高杉さんに答えることも出来ずに俯くしかできなかった。
そんなわたしに気付いて、慌てて高杉さんがフォローしてくれる。
「悩む暇があるなら、解決の為に動け!動いてから悩め!」
オレは、お前の笑った顔が好きだから。
そんな風に。
これは高杉さんなりに、一所懸命励ましてくれてるんだよね…。ん。あんまり心配かけちゃ、ダメだ!
「あの、高杉さん…ありが…」
「よーし、こういう時は風呂だ!!」
「は!?」
ナニ??この唐突な展開!?
「風呂に入って悩みも汗も全部流せ!さあ、一緒に入るぞ!!」
「は、入りません!!」
お礼言おうと思ったのに…!そんな間もなくツッコむ羽目になって。いつもの調子でそう返すと、高杉さんがニヤリと笑った。
「よーし、いつものおまえらしい調子がでてきたな?いつもそれでいろ!」
「あ…」
確かに……そう、かも??
すごく複雑な気分でいると、その間に高杉さんは「誰か、風呂の用意をしろーっ!」とか叫びながら、一人で行ってしまった。
そんな彼の背を見送って。思う。
高杉さんはスゴい人だなぁ……わたしなんかいつも振り回されてばっかりで、付き合うのには相当なパワーが必要そうだ。
そう考えてふっと笑ったわたしに、後ろから声がかかる。
振り返ると、立っていたのは桂さんで。
反射的にさっきの一件を謝ろうとしたわたしを遮って桂さんは微笑んだ。そして、そのままわたしに向かって手を差し出す。……その手のひらに、小さな笛のようなものがあった。
「これ…?」
「もう、昨夜のようなことはないと思いますが…もしもの時はこれをお使いなさい」
そうして、笛をわたしに渡してくれる。
「言ってしまうとね、これは晋作が用意させたのだよ」
「え?」
「幾分、ふざけているように見えたりも、するかもしれないけどね。晋作はああ見えて、とても思慮深い男なんだ。先々のことを、常に考えているんだよ」(とか言ってわたしに渡すってことは、先々にこれを使わないといけないような、ピンチイベントが転がってると…(苦笑))
え?…あれ?さっきは桂さん、高杉さんに考えが足りないとかイロイロ…怒ってたのに。
え???なんで?頭が混乱してくる。。。
そんなわたしには構わず、桂さんは紐を通して首からさげておくように、と伝えて去っていった。
……なんだか、不思議な関係。高杉さんと、桂さんって。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
晋作は、部屋で一人考え込んでいた。思い浮かぶのは、さっきの少女の悲しげなカオ。
突然たった一人で、過去に放り出された少女。不安にならない方がどうかしている。
……泣き出しそうなカオに。そんなカオをさせたことに、心が痛んだ。
今、自分に出来ることはなんなのか。
彼女の言う寺を探して帰してやればいいのだろうか。
…きっと。
帰る方法が見つかれば喜ぶだろう。
寺を見つけて。……あいつを、帰す……?
思い至った結論に、異を唱える自分を。晋作はもう十分自覚している。
帰したくないと。離したくないと。どこかで思う自分がいるのは、紛れもない事実だ。
けれど、帰したくないと自分勝手に願うなら。救わなければならないモノがある。
(過去に、たった一人。……その寂しさを、オレが埋めてやれるのか?)
出会って数日。縁もゆかりもない男。いきなり親兄弟の代わりになれるハズもない。
どうすれば……あの。
向日葵のような明るい笑顔を、守ることができるのだろう……。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「よし!できた!」
わたしは、さっきの笛の穴に紐を通して、自分の首にかけた。
…高杉さんが、わたしのために用意してくれた笛。なんだか、お守りみたいで嬉しい。
小さな笛を、手のひらでぎゅっと握り締める。
……それだけで、なんだか安心できるような気がした。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
と、言うわけで。四話でしたぁ!
晋作さんが既にわりかし本気なトコに若干の違和感を覚えなくもないですが~。まぁ、花を連発している今の主人公ちゃんなら、多少納得???
もうちょっと、高杉さんが主人公を気にする理由のエピソードを入れてれば良かったと思いますけどね~♪
つぅか、現段階でこんな甘いのに……この先どうなるんだろ。まだ十日くらいあるんだよ???そして、その頃までこのレヴューを続けられるのか!!!
うやぁ…。極限への挑戦やね~(爆)
今日の選択肢vv
す、素振りです(花)
ちょっと悔しくなりました(花)
似てるかも(花)
ぱーへくと☆(笑)
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